京たんくろ和牛は、短角牛を母に、黒毛和牛を父に持つ「京都生まれ京都育ち」の和牛です。
牛から排出されるメタンガスが、気候変動をもたらす温室効果ガスの原因として糾弾されています。
牛肉を食べないことが地球を守ることになるんだ、ということで、人工的に生産される培養肉や植物肉の開発に巨大資本が投資されているようです。
でも、ちょっと待ってください。
地球の人口が増え、工業化と大量エネルギー消費社会になった故の環境問題に、昔からいた牛のゲップまでが原因に加えられるって、なんだかアンフェアな気がしてなりません。
1960年から2010年の50年間で世界人口は2.3倍に増えましたが、牛肉の生産量は人口の増加とほぼ同じぐらいです。
一方、豚肉は3倍、鶏肉は9倍に増えていますから、「牛を育てる仕事」は、豚や鶏の生産より不人気だということがわかるでしょう。
肉牛生産は、時間も手間もかかり、危険も伴うとても難しい専門職なのです。
さて、タイトルの「牛が守る山」について、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思い2つの動画を紹介させていただきます。
牛の放牧が山を守り、生物多様性を守り、野生動物たちが人里に降りずに山で暮らしていけるようにしてくれているという、そんな、大地を守ってくれる牛の事例です。
放牧された牛が作る緑が、二酸化炭素をどれほど吸収してくれているかということも、ぜひ評価していただければと思います。
日本海牧場さんの「タンクロ」生産について(2009年放映分)
① https://www.youtube.com/watch?v=oLboMLukuj0
② https://www.youtube.com/watch?v=5Bn5tbASb2M
③ https://www.youtube.com/watch?v=YFJp8hegRkc
岩手県岩泉町の短角牛についての動画も、ぜひご参照ください。
① https://www.youtube.com/watch?v=f7oEIMJGZr8
② https://www.youtube.com/watch?v=zEtRYUc-1ww
③ https://www.youtube.com/watch?v=rkua-tzChGQ
「京たんくろ和牛は」は、京都で食され愛される牛として、2009年に農商工連携の認定を受け、多くの方に支えられながら地味にコツコツとブランドを育ててきました。
「京たんくろ和牛」の歴史は、日本海牧場の創業者(現代表・山崎高雄氏のお父様)が1980年に山地酪農に挑んで山を放牧場にされたことから始まります。
現代表が青年海外協力隊で岩手県岩泉町の青年と出会い、そのご縁で放牧に強い子育て上手な短角牛の存在を知り、そこから、和牛間交雑種タンクロ(短角牛×黒毛和牛)の生産を始められました。それが1986年のことです。
名無しの和牛間交雑種タンクロに、「京たんくろ和牛」という名前がつく2009年まで、すでに20年以上の時が経過していました。
2009年から始まった「京たんくろ和牛」のブランド化事業は、当時の京都府知事や京丹後市長からも励ましを受け、素晴らしい専門家の先生方から貴重なご助言をたくさんいただきました。そして少しずつ少しずつ、京都の地元の方に愛され食される人気和牛へと育てていくことができました。
2014年には、ハラール和牛として多くのムスリムの方にも召し上がっていただけるようになりました。
ハラール和牛への挑戦に伴い、日本海牧場さんでは、それまでビール粕を飼料に活用されていたのを醤油粕に切り替え、さらに飼料の質の向上に取り組んでくださっています。
放牧地と肥育舎の規模に合わせ、年間30頭だけが大切に育てられている「京たんくろ和牛」は、本当にささやかな存在です。
ですが、牛が赤土の山を耕し、緑の芝草でおおわれる景観をつくり、ふるさとの山を守ってくれる素晴らしさはかけがえのないものです。
これからも「みんなで育てる京の和牛」として多くの方から親しまれ愛される和牛を目指し歩みを続けてまいります。